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2011/11/22

日本の産業は生産をどうするのが良いか

以前に本ブログで「政府・日銀による円高対策に本当に必要なもの」という記事を書きました。
内容は、第一の論点として、伝統的な手法による対策では円高は止まりませんよ、それよりも円高を利益にできるような考え方をしませんか、というものでした。第二の論点として「それでも円高になれば国内のモノ・サービスを海外に持っていくと(輸出すると)以前と比較して割高になり、それを防止するために海外での価値を維持するので、相対的に国内での価値が下がることです」と挙げていましたがまだ述べておらず、今回はこの話をしたいと思います。円高の影響を受けて苦しむ方はどうすればよいのか、ということです。

結論から述べると、海外で作るものは海外で作る、日本で作って輸出するものは日本中に溢れているからそれに気付きましょう、ということです。

日本の産業の屋台骨は自動車産業であるといわれています。
これは2000年代以降、日本の輸出額に占める自動車の割合が6割になり、かつ国内での部品生産から組立に至る裾野産業の広さから、日本の輸出品の代表格として考えられることから来ています。
それが、消費の主役が先進国から新興国に移り、その消費実情に合わせ単価の安い車が販売の主流となり利幅が薄くなっていること、また一つの国で世界中の会社が競争することにより価格競争が激しくなり、製品を輸出した場合の関税と、現地通貨に換算した価格が円高により高くなってしまい、その競争に勝てなくなってきたことから、日本の自動車産業の根幹が揺らいできていると考えられています。
国内の自動車各社は、雇用を守る・生産技術向上のため、一定台数の生産を続けるとしていますが、それでも一定の輸出が必要になってしまいます。
よって、考え方の転換に迫られています。
自動車産業は生産を個人の技量から解放し、誰でも作業員として活躍できることで生産性を向上させ手に入りやすい価格を実現することができました。これは海外の方でも同じなんですね。つまり、誰が作るかという問題はそのサラリーの問題だけになるということです。
どこで作るかということは、消費する国との距離・為替・関税・国情ということになります。距離というのは、燃料価格が国際間の貿易が活発になるほど、世界の人口が多くなるほど高騰するので、距離が離れれば離れるほど移動させること自体が贅沢になるというものです。国情というのは、極端に言えば敵対する国同士では貿易自体が成り立たないということです。
ということは消費する国で作れば、どこで作るかという問題がなくなり、誰が作るかという問題もその国の給与水準に合わせたサラリーを払い、給与水準に合わせた製品価格にすれば問題はなくなるわけです。
つまり自動車産業は現地で作り、現地で消費するのが適するものであり、日本での生産に拘るものではない、というのが解なのです。
もう少し細かく言うと、WTOのドーハ・ラウンドが停滞することにより多国間の経済連携協定が活発になっていますから、その協定国内の消費を協定国内の最も適した国で生産するのが解です。例えば、ASEANであればタイやベトナムに日本企業が集中しているのがそうで、中国は国情から言えば輸出基地ではなくその巨大な消費を賄う生産で十分、インドはインド及び中東向け、トルコにも中東向けで、ヨーロッパ向けはEU内の旧東欧諸国や北アフリカ、北米向けはメキシコ、ブラジル向けはチリやアルゼンチンではないかと思います。生産規模が小さくなる懸念はありますが、将来の消費市場の大きさを考えれば見合うスケールになることは確実なので問題はないかと思います。
では日本での生産はどうなるのか、ということですが、日本国内の生産は日本国内の消費向けで採算をとる、ということです。
本ブログでは2007年に「中国+1の1は日本?」という記事で、輸送や在庫量など総合的な判断をすれば、中国で生産するよりも日本国内で生産する方がコストが安い時代になっていると主張しました。
実際にHP(ヒューレット・パッカード)社は中国で生産していた日本国内向けパソコンの生産を東京の昭島事業所に移管、高い利益率を実現するだけでなく、「Made in Tokyo」ブランドを確立しようとしています(日経新聞Web版)。確かに事業所の清水直行所長の先見と努力によるところが大きいですが、これを知ってトータルコストを再計算した方が良い企業も多いのではないでしょうか。
では、上記の企業に部品を納入している中小企業はどうでしょうか。
国内で生産し海外へ輸出している商品の部品を納入している中小企業は、円高による現地商品価格高を防止するために、部品の納入価格低減を求められてしまいます。海外で生産する商品の部品を納入している場合は、円高による納入価格高を防止するため自ら影響を受けることになります。
ただ、中小企業にしても考え方は上記した通りです。
中小企業の場合、海外進出する余力がない、という問題もありますが、同業である会社と協力して、もっといえば共同出資や合併により国内生産を確保しつつ海外に進出する勇気が生き残る肝となっています。
仕入れしている企業にしても部品生産の中小企業の海外進出が課題と考えたほうが良いです。メーカのトップが日本の製造の強みを問われたときに、すり合わせによるモノづくり、を挙げますが、その「すり合わせ」をやってくれる日本の中小企業が海外で生産する商品にも関わってくれることが自らの強みを発揮できる条件であるはずです。原価を低減するため、海外だけでなく国内で生産する商品に海外製の部品を使う例が増えていますが、それは自らの強みを放棄しているだけです。東日本大震災の時に調べ上げた部品調達先のデータを活用し、自社だけでなく他社とも協力して中小企業の海外進出の後押しすることが自社の優位性を堅持する条件になります。
上記は自動車産業を例に出して話を進めましたが、電子機器や他の産業も同様であると考えます。

ただ、これでも国内生産品の輸出に穴が開きます。それを埋めるのは何か、ということなんですが、思い起こしてほしいのは、バブル期の日本です。
バブル期の日本は欧米からワインなどの食品、ファッション、陶器などの雑貨、絵画を多量に輸入していたんですね。これは欧米の文化・生活への憧れがあり、それを取り入れる消費欲求、高額・高級品消費を礼賛する風潮が背景にあると考えますが、それが今、そのまま日本と他国の関係にあてはまることになっているんです。
つまり、日本の文化に根差した商品、日本人が提供することに価値があるモノ・サービスはすべて輸出する価値がある、ということです。
例えば、中国国内に流通する服は廉価品も高級品も中国で生産されています。ただ、中国の方からすれば、高級品が中国製であることに価値を感じないんですね。メガブランドも自国で作った商品を中国で販売するのがいいんですが、どうしても輸送等の面で高くなり、中国の方が買える、こなれた価格にならないんです。そうすると、メガブランドが中国と近い日本で生産し、中国に輸出するというビジネスが成立するようになります。まだまだ額は小さいですが、これは中国向けだけの話ではないはずです。
このような例が日本の他の商品全てに当てはまるわけです。品種あたり数億円と、その最大輸出額は大きなものにならないかもしれませんが、そうゆう商品も1万種あれば数兆円になるわけです。そんな商品が1万もあるか疑問に思うかもしれませんが、ワタクシたちの生活の周りにある商品が1万どころではないですよね。
需要はあるかもしれない、では、これをどう海外で売っていくか、というのが課題で、まずは地方ごとの同業者協同組合で打って出ることを考えてはどうでしょうか。よく東京で組合や自治体単位のアンテナショップやイベントを企画しているのを見かけますが、そうではなくて、あの感覚で海外でやりましょう、ということです。

長々と述べてきましたが、全て現在進行している現象ですので、今行動しておらず、行動するのを先に延ばせば延ばすほど、日本は、企業は、そして個人は、ひたすら儲け損なっているのを感じてもらえればと思います。

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